古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

「天声善語」書き上げ、古本屋へ

 出版ダイジェスト一面に大きく「散歩は古本屋巡礼」。荻原魚雷くんの記事が顔写真入りで出ている。しっかりと古本文章になっている。今日はこれを見て朝からいい気分だ。

 昨日は一日中家にいて、Lマガジンの原稿の構想を練っていた。900字余りなので、書き出せばはやい。でも結局、朝の4時ごろに書きあげTさんにメールで送る。Lマガジン、次号からリニューアルということなので、私も初心にかえって力をこめて書いた。北村くんも書くのでそれも楽しみだ。
 それで今日は、古本屋めぐりに出かけた。いろいろ考えて天神橋筋にきめる。   
 自分で言うのも何だが、その前に、水明洞に寄るところがスゴイ。

 しかし水明洞では何も買えなかった。
 車中で、山田稔『詩人の魂』と、長田弘『本を愛しなさい』を読む。
 天牛書店で、迷いに迷って、竹中郁の『消えゆく幻燈』を1800円で買う。前から欲しかったのだが、細かいことをいうと、1000円ぐらいで買いたいと思っていたのだ。でも今日こそ、例の双子問題を解決するのだから、女の子のこころの問題に立ち入るのだから、と30分ぐらい迷ったが購入を決心した。
 レジで一冊を包んでもらい、さあ、というとき、平さんの方が、横のおばさんに、
「こちら山本さん、古本の本を何冊も書いておられるんですよ、人気あるんですよ、大学の先輩なんです」と紹介してくれた。
「本は二冊だけですよ、人気はないんですよ」などと言ったが、そのあと、
「ところで、平さんは双子なんですか」とは聞けなくなってしまった。
もうそんなことは聞くな、ということなんだろう、あきらめよう。
 矢野書房で、草野心平『わが生活のうた』(教養文庫)を100円で。この文庫は知らなかった。
 今日は時間があったので、ハナ書房にも入り、成本さんと少し話す。いろんな雑誌を見せてもらった。ハナ書房にある本は、みんないい本に思える。帰り道、なぜだろうと、そのことを考える。
 仕事終り、深夜のコミックショックで、島尾敏雄『贋学生』(講談社文芸文庫)を210円で購入する。