古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

福原麟太郎が小説を書いていた

 津田京一郎さんより、やはり雑誌『SNAKE』(出版者:潮會、出版地:東京)に福原麟太郎の小説が掲載されていたとの報告があった。

「フラスコものがたり」3卷1号 大正6年1月
「従兄弟の結婚」   3卷6号 大正6年6月
「太陽を呼び返すもの」4卷1号 大正7年1月

 福原氏自身、小説のつもりで書いたものは三つ、と書いている。(『この世に生きること』)。その雑誌について、いま日本中探しても一冊もあるまい(昭和27年)とまで書いているのだ。そしてその小説の内容にまで言及されていたので、これは見つけねば、と私の古本魂が動きだそうとしたところ、津田さんが素早く見つけて下さった。日本近代文学館が所有しているらしい。さすが日本近代文学館だ。
 福原麟太郎には、『われとともに老いよ』という見事な小説風エッセイがあるが、やはりその源にあたるような小説があったのだ。これは貴重な発見だと思う。
 『SNAKE』の同人になったと、年譜にあるが、そこに小説を発表していたと
は驚いた。津田さんとの連係プレーが、自分でいうのも何だが、見事にきまってうれしい。
 このところ、古本勘がよくはたらき、他にもちょっとした発見?があった。
「そんなん、みんな知ってるじゃん」と言われないように今調べている。
 今日ももちろん古本屋をまわった。でも買ったのは、仕事帰りに寄った「コミックショック」での一冊だけだった。『モダン・フォークの巨星 ボブ・ディラン
(1966年、東亜音楽社)、新書版。これは面白そうだ。状態が悪いが、その悪さが味になっている。
 そうそう、ガケにも寄った。すると、バイトの女の子が、「山本さん、ちょっと相談が」と。てっきり恋の相談かと思って喜んだのだが、その相談は、「古本を買って、本を函に入れるとき、紙が引っ掛かって、2、3ページ、ビリッと破れたんです。もったいなくて、残念で、どうすればいいでしょう」というものだった。