古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

京都現代詩史

 あーす書房の前を通ると、何かしらいい感じがする。それで自転車を降りることにした。大山定一訳編『ドイツ抒情詩集』、NHK市民大学博物学の世紀』(荒俣宏)、サド『悲惨物語』渋沢龍彦訳(1963年、思潮社)、中に入り300円を払った。もうすぐ「みやこめっせ」の古本まつりなので店内整理中だという。「こんなん出てきました」と見せてもらったのが、『京都現代詩史』だった。1945年から1990年までの記録で、詩集、詩誌、評論、訳書、と詳しく記されている。これは貴重なものだと思い値段を聞いてみると、300円でいいといわれる。ありがたいお言葉、きっと赤貧価格にしてくれたのだろう。
 ブックオフ三条にも寄る。佐々木千賀子『立花隆秘書日記』。製本が悪く、すぐ割れそうで買う気が失せたが、内容が面白そうなので買う。製本、造本に手を抜いてはいけない。繰り返し読める本を作らないと。
 仕事帰りのコミックショックで、文庫2册。田中小実昌『乙女島のおとめ』(集英社文庫)105円、柴田流星『残されたる江戸』(中公文庫)367円。
 夜、サドの「悲惨物語」を読み出すと、実に怖い出だしだった。世のひとを教化し悪風をただすことがこの本の唯一無二の主題だといい、そのために、作者が非道な罪のおそろしい容相を事細かに筆にしなければならないとしても許してくれといっている。サドの言葉として考えると恐ろしいけど、ユーモアのようなものも感じた。