古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

現代ユウモア全集を二冊

 今日は仕事が休みだった。劉生絵日記など読みながらのんびり過ごす。熱いお茶を飲みながら出来るだけゆっくりとページをくっていると、自分がもう色気もなにも無くなったおじいちゃんになったように思った。
 散歩に出ようと郵便受けを見ると、扶桑書房の目録が。あわてて家の中にもどり
封を切り赤ペンをにぎり炬燵のなかに入る。一刻を争うのでこのときの集中力はものすごいものがある。気が付くと自分が色気たっぷりの30歳になっていた。
 ところがなぜか注文できなかった。気になる本はあるのだが、思いきれない。
 また70歳ぐらいになって散歩に出た。白川通りにある古本屋さんの前をみると
昨日はなかったような古本の山。急いで近寄り座りこむ。とりあえず数冊抱え込み中身は後で見ることにする。というのは横にも奥にもライバルがいるのだ。負けるもんか、と手をのばした時は、20歳ぐらいになっていた。
 加藤美侖(みろん)『近代文藝ゲーテから現代まで』大正12年、重版、100円。鍋井克之『閑中忙人』200円、大泉黒石『當世浮世大學』(現代ユウモア全集)200円、岡本一平『手製の人間』(現代ユウモア全集)200円、野坂昭如『騒動師たち』100円。
 家に帰り、「スムース」11号、南陀楼綾繁「大正の何でも博士、加藤美侖のこと」を読み返した。