古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

パンテオン9号

 北海道新聞の書評(長谷川郁夫『藝文往来』)を書き上げ、気持ちよく家を出た。時間が少しあったので、銀林堂、紫陽書院、福田屋をひやかす。第一書房の雑誌『パンテオン』の9号が500円だったので驚く。昭和3年12月、編集責任者、長谷川巳之吉。この9号には、平井功の詩「日だまり」、高森文夫の詩「信濃の消息」、城左門の詩「秋風語」、などが。第三文明社、レグルス文庫、河上徹太郎『日本のエリート』100円。ラジオ連続講座の文章化。堀辰雄全集の全巻解説も。鮎川信夫吉本隆明論』吉本隆明鮎川信夫論』100円。これは一冊の本。
 車中読書は、矢川澄子『おにいちゃんー回想の澁澤龍彦』。これはやはりなかなかのものであった。矢川澄子澁澤龍彦との生活が矢川澄子らしい文章で語られている。分かったような分からないようなところもあるが、それでも耳を傾けていられる文章だった。澁澤の文章を読みたくなった。
 紀伊國屋書店でうろうろする。すると、森山大道の『遠野物語』が光文社文庫から出ているではないか。これは好きな写真。定価が500円ちょっととは安い。光文社おそるべし。