古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

福武書店、文芸選書

zenkoh2008-01-17

 カレーを食べに行こうと思った。カバンをチェックする。古本七つ道具もチェックする。古本七つ道具については、恥ずかしいのであまり人に話したことないが、あるんです、ちゃんと。
 カレーといえば、ヴィヤントかケララ。この前食べた、ジャズ喫茶「ラッシュライフ」のカレーも美味しかった。でも今日はケララランチにした。
 もちろんその前に、三条ブックオフへ。福武文庫、スティーヴ・エリクソン『黒い時計の旅』105円だけ買う。店を出るときも当然古本を見ながらゆっくり出ることにしている。それで何回もいい本見つけているのだが、今日もありました。舟越保武『大きな時計』。舟越保武は彫刻家、松本竣介と同じ学校だったはず。息子2人も彫刻家。この『大きな時計』は、私家版だった。200円だった。普及版はよく見るが、それとは、デッサンも装幀もちがっている。入っているデッサンは、舟越保武脳梗塞で倒れたあと左手で描いたという。
 京阪書房にも寄る。なかなかカレーまでいけない。店頭の台にあったのが、福武の文芸選書、嘉村礒多業苦、崖の下』、300円。うれしい。
 店内の下の方から、三上寛『妄想列車最終便』、300円。
 ケララランチ、チャイもついて850円。もっと美味しいカレーがあるのだろうが、ぼくはこれで満足。待つ間に、買った本をぱらぱらする。
 嘉村礒多の「業苦」を読むと、そうやったそうやった、実家に妻と子供を残して、愛人と駆け落ち、妹からの手紙、発熱、仕事、内職、凄まじい生活のなかに入りこんでいる。
 嘉村礒多は、葛西善蔵の口述筆記などもしている。きつい人生だったが、そのままの小説が立派に残っている。
 食後、また京阪書房に寄って、竹内てるよ『花三部作』(昭和17年、大和出版社、西田左門装幀)、600円を調子にのって買う。
 電車のなかで、嘉村礒多読み、ぐっときた。