古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

ガケ書房善行堂で売れた本

 今日から4月8日まで春休み。わっはっは。雨のなか散歩がてらに銀林堂、ぶんこ堂とまわるが何も買えなかった。古本のかわりに、ドンクで食パンを買って帰り、昨日精算してもらった善行堂の売り上げ票を見てあれこれ思う。今月は渋めの本が売れていた。串田孫一の『花火の見えた家』、中野重治『映画雑感』、山本嘉次郎『春や春カツドウヤ』などは、二冊持っていた愛読書で、いい本買っていただきうれしかった。あと吉行淳之介寺山修司村上春樹なども売れていた。
 徳田秋声の小説が売れるのだから(私は好き)、ガケのお客さんかなり渋い趣味をお持ちだと言えるのではないか。古本ソムリエとして、コクのある読書生活(『読書の腕前』のパクリ)を送りながら、よりよい本を並べたいと思っている。
 雨だということもあり、家でこの春休みの計画をたてるが、やっかいなことがあって思うようにはいかないだろう。大変な春休みになる予感に震えたがどうしようもない。
 人魚書房から、古本雑誌『初版本』が発刊されるらしい。責任編集川島幸希、編集協力東原武文(扶桑書房)。年2回発行、1部1000円(送料サービス)、完全予約購読だという。創刊号の目次をみると、内堀弘「北園を探す」、征矢哲郎「椎の木社の詩集」、樽見博「白秋の雀」、川島幸希「シベリアを渡った漱石の献呈本」、東原武文「三島由紀夫の稀覯雑誌『故園』と『シリウス』」など興味深い題目が並んでいた。石神井さんや扶桑さんには、目録にすべてをかけて頂きたいという気持ちがあるが、その文章を読む楽しみもある。5月31日が締めきりで、以後の申し込みは返金するとあった。これだけの内容で1000円というのは、安いのだが、ここに足を突っ込むというのは、なかなか大変な世界に入り込むということで、ちょっと怖い。大げさな、と考える人は、古本の世界を知らない人だ。