小川和夫『平田禿木から福原麟太郎への手紙』(南雲堂)を買ったのは、2年前の「みやこめっせ」でのこと。300円だった。この冊子、『平田禿木選集』の付録みたいなもので、非売品となっていて四条畷学園図書館の印が押してある。福原麟太郎著作集の付録にしてもおかしくないような内容である。福原の手紙の引用はなかったが、平田禿木の手紙を通して、各時代の福原の文筆活動、交友関係などを紹介している。英文学界のいざこざなども披露され興味深い。また福原の巧みな翻訳(ゴールドスミスの戯曲『尺とり虫』)も楽しめる。
山門入らずの坊さん来つて
酒は罪だと説教すれど
小判一枚かけても言ふが
説教するなら飲んでの上だ。
だがもし奴らの世迷ひ言
聞かうと賽銭まく奴あるなら
そいつは知らねえ、わからねえ
だが君、君らは鳩ぽつぽ
よさや、えやさでよいとこさ。
他にも興味深い話が多く、例えば、昭和2年に岡倉由三郎一門で出した雑誌『亡羊』
のことなどもその一つだ。この雑誌に福原は書きに書いて書いて書きまくったらしい。小川京一というペンネームで、チェーホフの翻訳までやっているらしい。
今日は、千林の古本屋さんをまわって、買ったのは一冊だけ。古川嘉一郎の『なにわの急ぎ星』ードキュメント林家小染。そして仕事帰りの深夜、村岡真澄詩集『夢の傷み』(1977年、民芸館)を買った。