古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

 朝起きてすぐ、朝日新聞の「私の収穫」を読む(昨日の夕刊)。
 黒岩比佐子さんの連載で、今回は、国木田独歩と「画報」。
 編集者としての独歩のこと、その下で働いた女写真師の日野水ユキエのこと。
 短期連載らしいが、10年でも20年でも続けてほしいものだ。
 黒岩さんは、独歩のことから奇跡的に日野水ユキエにたどり着いたことのを述べたあと、
「どんなに不可能に思えても絶対にあきらめるな、と教えられた一件だった。」と書いている。
 黒岩さんに話しかけたくなった。
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 今日の夕刊にも、今日の収穫が。「偽装された発禁本」。黒岩さんは、古本蒐集およそ10年だという。
 何よりの楽しみだというから、うれしい。いっしょに古書店めぐりをしたいなあと思った。
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 今日は、ヒマでしたねえ。本を読んだり本の整理をしたりしてました。
 前に村岡真澄さんといっしょに来て下さった、君野隆久さんが、詩集(朝、廃区を、)を持って来てくださった。
 村岡さんの彼方社が発行所。第二詩集ということでした。
 善行堂にある詩集をいろいろ見てもらいながら話をした。
 君野さんの詩はこんな詩です。

 覚醒
 
 さわる、
 さわる、さかる
 さわるさざめく、さそう
 叱る


 さめて
 何度も何度もさめて
 さむい、
 さむい


 去った
 寒いなかで
 さらされた土地から生まれた
 ひとつの位置、ひとつの
 血
 何もない
 だから生まれた
 散っていった沈黙といまだ
 声とならない
 ざわめき


 醒めて
 しだいに層をなしてはしゃいだ
 ところどころの市を廃して
 白い塩のしたたる
 半島を渡った

 
 寒い
 さめて丸くなる。
 うずくまる。ねむる。
 わらう、昼でもないのに、
 だまる、
 夜でもないのに、
 さわる、
 さわるな、
 そうすれば、そのままにすれば
 やがてぎりぎりに冷えた
 飽和した銀の海に
 形を結ぶ

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 河盛好蔵の『藤村のパリ』(新潮文庫)を、ゆっくり読み返している。
 この河盛の語り口がとても今の私にあっていて、気持ちよくゆっくり読めた。
 はやく読もうなんて思わないなあ。だからもちろん藤村はまだパリに着いていません。
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 雨でぼくが退屈してると思ったのだろう、デコさん寄ってくれる。
 岡崎がサンポマガジンと西川さんのイラストをほめていた、と教えてくれる。
 そういえば、昨日、電話で絶賛していたなあ。そうでしょう、そうでしょう、いい出来なんですよ。
 サンポマガジン、善行堂でもう20冊売れました。今までで最高のスタートじゃないでしょうか。
 部数を聞いて驚きました、今までで一番少ないんじゃないでしょうか、でもそういうものですね。
 書店員の西村さんもサンポマガジンを買ってくれました。
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