古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

第二回 谷町”月いち”古書即売会

zenkoh2007-09-28

 今日は大阪古書会館古書即売会へ行ってきた。5分前に入口に着く。海鯛さんが先頭だ。
 まずやはり100円均一台へ。『ARE』が4冊並んでいた。2号が2冊、3号と5号各1冊。『ARE』は『SUMUS』の前の雑誌で、表紙は林さんの手彩色。もうほとんど残っていないので助かった。もう10年以上前の雑誌なので、古書の匂いが付きだしている。次に、澁澤龍彦、二冊を。函がきれいな『エロティシズム』(桃源社)と『洞窟の偶像』(青土社)。どちらも状態がいい。でも100円台にでそうな本ではないので、何か欠点があるにちがいない。おそるおそる中を見てみると、赤線と青線があった。赤の方は色鉛筆みたいなので、消せるでしょう。問題は青の方で、ボールペンかも。まあ、100円なので金子國義の函だけでも。あとで、消しゴムで丁寧に消してみると『洞窟の偶像』の方はきれいになった。書物の博物誌と帯にあるが、推薦文なども含まれていて、おもしろそう。『エロティシズム』は、やはり、青の方が消しにくく残念、でも買っといてよかった。
 古い手製のカバーがかかっている文庫があったので、抜き出してみると、春陽堂文庫だった。永井荷風ふらんす物語』(昭和7年、初版)、カバーのおかげで状態もいい。これを手に持ったとき、100円均一台で、真剣になった。ところが、何だか背の文字が見にくい。眼鏡を眉毛にのせてみて行くが、これじゃ、遅れをとってしまう。庄司浅水『奇本・珍本・本の虫』(昭和29年、学風書院)があった。以上を持ってひとまず精算。
 ひとだかり、のある台に。よさそうな本、安い値段。とりあえず、抜き取っていく。織田作之助『大阪の顔』(昭和18年、明光堂)は、エッセイ集、200円。小生夢坊『天狗まんだら』(昭和29年、学風書院)300円。このあたりで、林さん登場。背が見えなくなっている、古い分厚い本は、ウィリアム・モリス『無何有郷だより』だった。大正14年、至上社出版、布施延雄訳。おそるおそる値段を見ると、300円、うれしい。新しい本もあった。アントニオ・タブッキ『夢のなかの夢』(1997年、青土社)、も300円。上林暁の『草餅』は函がないけれど。200円。
 高見澤木版社の浮世絵画集の内容見本が、300円。贅沢な内容見本だ。昭和のはじめのものだろう。海鯛さんが、ぼくのカバンを後から引っ張っている。無視する。
 ここで、また、精算。
 店内をざっと見て回ると、龍膽寺雄の『風ーに関するepisode』、丹頂書房版があった。この本は珍しい。それも僕の持っているのとは、違う異装本だ。2500円は、はっきり安いのだが、100円とか300円の本を見ているので、高く感じる。買うだろうとは思うものの、迷っていると、海鯛さんが現れ、「ほう、珍しい本みつけたな、何を迷ってるのや、こういう本は買っとかなあかん、昼飯3回抜いたらええんや」
 もちろん、買わせていただきました。丹頂書房も調べてみたい出版社。他にもいろいろ買ったので、荷物は重いが気持ちは軽い。
 いつも、大阪城を通って、京橋まで歩く。大阪城を見ながら、ベンチで買った本のほこりを払ったりする。