古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

北方人

 『北方人』11号、まず、津田京一郎さんの詩人黒部節子さんについての文章、そのあと、盛厚三さんの伊上凡骨についての文章、を興味深く読む。
 今日は休みなので散歩にでることにする。北ルートでまわる。「ガケ書房」に古本を追加、「全適堂」の様子も見に行き、もちろん古本屋さんにも入る。古本めぐりではよくあることなのだが、今日もびっくりすることがあった。石ノ森章太郎の『トキワ荘の青春』(講談社文庫)や、有本芳水『笛鳴りやまず』(中公文庫復刻)、桐生悠々畜生道の地球』などを、いろんな店で安く買った。それはまあ、いつもの買い物なのだけれど、ふとガラス扉の付いた本箱のなかを覗いてみると、ちょこんと、小型の本が二冊置いてあった。取り出してみると、鈴木三重吉の『小鳥の巣』の上下であった。函はなかったけれど、大正5年、春陽堂の本である。
 さっき読んだ『北方人』に、『三重吉全作集』のリストが載っていて、欲しいなあ、と思っていたところだったので驚いた、というわけ。木版は凡骨ではなく大倉半兵衛だったが、天金も美しく、しかも二冊で500円だった。
 ブックオフでは、池田満寿夫『私自身のアメリカ』(朝日新聞社)を、105円で買った。池田満寿夫もときどき読み返したくなる書き手だ。