古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

現代小説選集

zenkoh2007-09-14

 昨日買った『現代小説選集』のことは、高見順が『昭和文学盛衰史』に書いていたのだった。思い出した。それで読み返すことにした。文春文庫なのだが、よく文庫になったものだと思う。これは名著だと思う。出だしが、田山花袋徳田秋声の生誕50年祝賀会の話なのだ。葛西善蔵が受付の役なのだが、たまたま彼の徽章がなかった。そのまま役をこなせばいいようなものだが、葛西善蔵は徽章もないのに受付はできないという。そのことを小説に仕立てることも考えたという。結局は、口述エッセイになったのだけれど。子供みたいな話だが、これは、葛西善蔵らしいとも言える。
 一冊、古本を買えば、いろいろ世界が広がって面白い。
 今日は白川通りを北上する。『紅葉集』3巻(春陽堂、)を100円、コロナ・ブックスの『ノスタルジック・ホテル物語』を500円で購入する。
 出町柳近くの「モダン焼きフジ」で昼食。急に激しく雨が降ってきた。買った本をチャック付きのビニール袋に入れ、傘を借りて店を出たが、びしょびしょになるぐらいの雨のなか駅に走った。傘があっても役に立たなかった。
 ブックオフに寄って、岡井耀毅『瞬間伝説』(KKベストセラーズ)を105円で買う。電車のなかでぱらぱらと読んでみると、日本の写真家列伝という感じ。劇的な文章が仕込まれていて所々で引っかかる。さらりと書いてほしいところ。この本、確か、朝日文庫にも入ったはず。
 『キャッチャー・イン・ザ・ライ村上春樹訳、新書サイズを105円で買う。
 仕事を終えて家に帰ると、加能作次郎『一人の女』が届いていた。