古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

丹頂書房

 マルギン前の100円均一は、おばあちゃんにも大人気だ。店番の人にあれこれ話かけている。ぼくは4冊ほど買って帰る。マ−サ・グライムズ『桟橋で読書する女』、『建築探偵術入門』、『吉行エイスケ』、木辺弘児『海ユリの時間』。
 吉岡書店の店頭で、春日原浩『阿佐田哲也色川武大・人生修羅場ノオト』300円。春日原さんは、週刊プレイボーイの元編集者で、阿佐田哲也の担当だったという。中村龍生氏の写真は迫力がある。
 ブックオフ三条店にも寄って、内田百間サラサーテの盤』(六興出版)105円、小島信夫『美濃』(平凡社)も105円。『美濃』はうれしかった。『文体』に連載したものをまとめたもので、読みたいと思っていた。『別れる理由』と併行して書かれた作品だ。
 電車のなかで、缶コーヒーを飲みながら、買った本をペラペラする。京阪特急にジャズの車両をつくってほしい。
 鞄に入れてきた本は、正宗白鳥の『不思議な書物』だ。随筆とも小説ともとれる短編集だが、久しぶりに白鳥の語り口を味わう。
 この丹頂書房の一冊の手触りがとてもいい。丹頂書房の本をちょっと調べてみようかなあ。