古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

今日も自宅で本探し

zenkoh2008-04-29

 書影用の本を持って、セブンイレブンへ。ここのコピーはきれい。ちょっと離れているので、途中、古本屋ねぐり。今日も、驚きがあり発見があった。驚きということで言えば、年に一度あるかないかのA級クラスのものだった。
 先日の扉野くんの出版記念パーティーでのこと、ぼくが座らせてもらったテーブルには、本は好きだけど古本屋さんにはあまり行かないという人たちが座っていた。そのなかに、中里介山の『大菩薩峠』を4、5回読んだことがあるという人がいた。『大菩薩峠』は何と言っても大長編で手が出しにくい小説だ。ぼくも読んでみたいとは思うものの、まだ未読のままだ。扉野くんは、
 「山本さんは読んだ方がいいですよ」などと言っていた。どういう意味かはっきりわからないが。
 『大菩薩峠』さんに、古本屋めぐりの楽しさをいろいろ説明していたのだ。(ぼくはついいつもこうなってしまう)
 「熱心な読者がいましてね、例えば『大菩薩峠』の新聞連載を切り取って、スクラップに貼付けたり、一冊に綴じたりする人がいるんですよ。挿絵も入ってますしね。」
 「そんなのが、例えば、今日も行ってきましたが、四天王寺の古本まつりの100円均一に並んだりするのですよ。」
 「(驚きの表情、見てみたいという表情)」
 行き過ぎたと思いちょっと押し戻し、
 「もちろん、めったにでませんけど。目録に出たら高いんですよ。」
 新聞連載を切り取って、何かに貼っている人は多いけれど、『大菩薩峠』ともなると、自分でいいながら、そんなに簡単には見つからないという思いもあった。
 ところが、今日、あの石井鶴三の挿絵が入った新聞切り抜きを横長の台紙にはり、綴じたものを、散歩の途中で見つけることができた。
 まあ、よくあることだが、こういう出会いは、いつも不思議だ。
 中里介山と石井鶴三は、挿絵の著作権のことで争ったのだが、こうして見てみると、名コンビだったと思われる。
 これでまた一歩『大菩薩峠』に近づいたように思う。読み出す日が来るかも知れない。
 他にも、いい本が買えました。
 『クリスマス・カロル』、淺野和三郎訳、明治35年初版、この本は明治39年5版。
 これは最も初期のクリスマス・キャロル翻訳のひとつではないか。明治の本とは思えないほど状態もいい。書影を載せたいなあ。
 森山啓『遠方の人』、昭和16年、甲鳥書林。久しぶりだ、甲鳥書林の本。濱邊萬吉の装幀も好きだ。表紙の絵、表紙裏に描かれた甲鳥書林の文字や鳥の絵を使ったマークも素敵だ。さすが、甲鳥書林と思わせる本造りだ。
 ルドルフ・ヴァン・ヴェールト『灰色のエッフェル塔』。これはよくわからないが、題名に惹かれて買ったもの。
 ところで、『クリスマス・カロル』の翻訳者、淺野和三郎は、あの心霊学の淺野和三郎なのだろうか。きっとそうだと思うのだけど。