古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

大きな買い物

zenkoh2007-10-17

 小出楢重はやはり抜群に面白い。『楢重雑筆』(昭和2年、中央美術社)、なぜ持ってないのだろう。何回か古書店で見たことあるのだが。買ったようにも思うのだが。 
 千林の古本屋さんをめぐる。シュタイナー松川を誘おうかと思ったがやめておく。お好み焼き屋は満員だったので、昆布うどんといなりを食べた。
 いつもブックオフは最後にすること多いが、何故か千林は、ブックオフからまわり始める。だいぶ寝かせてあったので、期待して入るが、買えたのは一冊だけであった。中村文則『悪意の手記』105円。
 山口書店。なぜか買えない。ここまで来て手ぶらでは情けないけど、あきらめて店を出ようとしたとき、目に飛び込んできたのが、写真にアップした、白木正光編『大東京うまいもの食べある記』(昭和8年、丸ノ内出版社)。値段をみると、2000円だった。安いと思うが、頭のなかが山口書店モードになっているので、思い切った値段に驚く。それを買ったら、おばあちゃんはもっと驚いていた。ぼくはここでそんな高い本を買ったことがないから、びっくりして本の中身を何度も調べていた。
 いつものように公園では5ブループぐらいに分かれて将棋をしている。みんな指すのが速い。
 楠書店の100円棚で、佐野一彦『おのづから』一冊持って奥に入り色々見るが買えない。お金を払い店を出ようと向き直ったとき、また気になる一冊に目が止まる。香月泰男『シベリヤ画集』(昭和46年、新潮社)。値段をみると、定価の半額、6000円。これを買わないようじゃあいけない、と思い直し買うことに。店のおばあちゃんも、まさか買うとは思わなかったのだろう、何がおこったのだろう、という顔になっていた。とにかく千林に通って30年、こんなに高い本を買ったことがないのだから当然だ。1000円札を出すことすらあまり記憶にないのだから。
 高い本を買うと、それがどんなにいい本でも、ちょっと憂鬱になる。