古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

前田寛治、好き

zenkoh2007-09-21

 京都の古本屋さんめぐりが忙しくて、なかなか大阪まで廻れない。今日は思い切って、天神橋商店街まで足をのばそう、と思って家をでた。でも水明洞に寄っていくことにする。
 仁木悦子の『林の中の家』は、真鍋博の装幀で、100円。科学読本『新浦島物語』は、昭和22年発行。19ページの薄い冊子で、100円。追加はないかいな、としばらく待つがその気配なし。
 中井書房で、野村胡堂の『三万両五十三次』1を買う。200円。これで、2セット揃った。
 気になるが、ブックオフには寄らず、天神さんに向かう。
 車中では、『暗夜行路』。謙作の放蕩生活が終わりそうなところで、寝てしまう。仁木悦子真鍋博装幀本は、いろいろ遊びがあって楽しい。まず背の文字だが、林の中の家、仁木悦子講談社版、とあるのだが、その林、仁、講、の文字が大きくなっている。函では、林の字がひときわ大きくなっている。造本も少し変わっている。ぼくの大好きな、堀内誠一装幀の、真鍋博『愛媛の昔語り』(朝日出版)みたい。
 久しぶりの天神橋商店街を、期待いっぱい持って歩く。天牛までにある古本屋を覗きながら歩くのも楽しい。ブックマークの100円棚から、石垣りん、第三エッセイ集『夜の太鼓』を。
 天牛の店頭で隈無く見てまわるが、何も買えず、悪い予感。店内の300円棚で、色川武大『遠景雀復活』を。このカバーの紙の手触りは、粟津則雄の小説集『影の女』みたいだ。厚手で、でこぼこ、ざらっとしている。
 もう一冊、『前田寛治畫論』を買う。昭和21年、昭森社版、600円。前田寛治、好き。
 ハナ書房は閉まっていた。