古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

喫茶と古本 高遠本の家

 往復、10時間、長野県高遠、名古屋から塩尻に向かう特急はよかった。ぼくは大文字山の下に住んでいつも山を見上げているが、長野の山はまたちがった山だった。雄大で新鮮だった。そんな山々を見ているとゆったりとこころが落ち着いたりした。自分の毎日の生活を深く反省した。100円で値打ちのある本を探そうだとか、文庫は50円で買いたいとか、ジャズのCDを500円均一にしてほしいだとか。山の緑を見ているとそんなちっぽけなことは思いつきもしなかった。ところが、「高遠本の家」に着き、表の100円均一棚を見たとたん、仕事も挨拶も忘れ、…。
 いいところでした。印象記を8月25日発売のLマガに書きます。カメラマンの西岡潔くんの写真も楽しみだ。
 書肆月影の大塚清夫さんに、いろいろ話を聞かせていただいた。「スムース」を書肆アクセスで買ってました、といううれしい話も。書肆アクセス閉店の話は、ここ高遠の大塚さんにも届いていた。

マルギン前の100円均一。
寺門仁詩集『魂魄の宿』、ポール・ニザン『陰謀』、紀田順一郎『鹿の幻影』、山崎英介『ニューヨーク・スクラップ』、与謝野晶子『みだれ髪』(復刻)。
吉岡書店の店頭で、シュペルヴィエル『日曜日の青年』(1968年、思潮社、嶋岡晨訳)。200円は安いなあ。人妻に恋をして抱きついたら突き飛ばされ気がつくとハエになっていた、たしかそんな話。シュペルヴィエルにも興味もっている。