古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

天三おかげ館

zenkoh2009-02-18

 天神橋のプチ古書即売会をのぞく。
 菊池寛『双愛記』昭和22年、永晃社、岩田専太郎装幀を100円で。
 菊池寛のこの手の小説は、話が上手く運びすぎるという欠点はあるにせよ、読むとそれなりに面白い。戦後すぐの悪い紙、かんたんな造本ではあるが、なかなか趣きがある。
 天牛に入り、平さんに挨拶して少し話す。「何か掘り出し本ありましたか」と聞かれたが、そうそうありませんよ。買ったのは、
 佐々木マキ文、あまのあきこ絵『ミラクルバースデイ』100円。
 トゥルゲーネフ『散文詩』、神西清訳、昭和23年、斎藤書店、680円。
 時間が少しあったので、大阪駅前ビルのジャズ喫茶「ホワッツニュー」に入る。
 買った本をチェックして、フィッツジェラルドを読む。ちょっと物足らない。だから、途中下車して、菊池寛を読んだ。
 ジャズ喫茶でかかるレコードはたいてい聴いたことがあるが、今日のは見たことがないものだった。ジャケットをみせてもらいたかったが、常連客が手に取っていたので、見れなかった。菊池寛に入り込んでいたので、気がつけば次のレコードになっていた。
 タイトルを覚えていたので、今調べてみると(便利)、渡辺貞夫だった。「TOKYO DATING」
 そうだったのか。誰だろうと思いながら聴いていたが。
 渡辺貞夫さんに、昔、京都の丸善で会ったことがあった。持ち歩いていた原稿用紙にサインしてもらった。そのころ原稿用紙を持って町をうろついていたが、ほとんど何も書けなかった。