古本ソムリエの日記

古書善行堂 山本善行

初、上海ラヂオ

 11時30分ごろ、上海ラヂオの日だったと気付く。それまで休みでダラダラしてた身体がシャンとなった。古本が絡まないと力がでない。
 ☆永瀬清子『かく逢った』、1981年、編集工房ノア
 この本は持っているので、3月の「外市」に出します。
 間違いなく面白い本。それは目次でもわかる。例えば、「逸見猶吉と風呂敷包み」「北川冬彦氏の背中」「大阪のころー岩田潔のことなど」「山内義雄先生の無償の行為」「港野喜代子のことども」「村松緑さんと泣菫」「巨木の倒れー横光利一氏追悼」「正宗白鳥先生の偏屈」
 永瀬清子の回想エッセイといえば、『すぎ去ればすべてなつかしい日々』(福武書店)というのもあって、見つけにくいのはこちらの方か。
 永瀬清子の詩をひとつ。
 
 あけがたにくる人よ
 
あけがたにくる人よ/ててっぽうぽうの声のする方から/私の所へしずかにしずかにくる人よ/一生の山坂は蒼くたとえようもなくきびしく/私はいま老いてしまって/ほかの年よりと同じに/若かった日のことを千万遍恋うている/

 その時私は家出しようとして/小さなバスケット一つをさげて/足は宙にふるえていた/どこへいくとも自分でわからず/恋している自分の心だけがたよりで/若さ、それは苦しさだった/

その時あなたが来てくれればよかったのに/その時あなたは来てくれなかった………



 ☆ジェイ・マキナニー『モデル・ビヘイヴィア』、金原瑞人訳。
 これは面白いかどうかわからない。
 ☆柏原兵三『独身者の憂鬱』、中央公論社
 ☆清岡卓行『抒情の前線』、新潮選書。
 ☆K・H・シェール『オロスの男』、早川。
 ☆粉川哲夫『都市の記憶』、創林社